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圃場生産工程管理データの統合化に向けて

生産工程管理データ表現・交換規格 : FarmXML

 これまで圃場生産管理支援システム・ソフトウェア類は数多く提案されてきましたが,それらのシステム・ソフトウェア間でデータ交換を行おうとするとなかなかこれといった書式がありませんでした。
 作業計画・管理支援システム(PMS)では,生産工程管理データのほとんどをデータベース化して格納していますが,そのデータベース構造はまったく独自に開発されたものです。それらのデータを対外的に交換するためにはこれまで,CSV(comma separated value)形式やマイクロソフト社のエクセル文書形式などがよく用いられており,PMSもそれに対応しています。
 しかし,ファイル形式はCSV,XLSといったものであっても,その中に記載されている実際のデータ項目やその並び順,個々の項目が持つデータの意味・表現しているものなどは,それぞれ独自に定義されたものです。実際にデータ交換しようとすると,各項目の意味するところやデータ並び順といった「データ書式情報」を知る必要がありました。データ交換をしようとするシステム・ソフトウェア間では相互にそのデータ書式に基づいて,データ変換などの機能を実装しデータ交換を実現しています。このデータ書式情報は各システム・ソフトウェア内に埋め込まれている(プログラムコードとして実装されている)ことが多く,多様な書式への対応には限界がありました。

 この「データ書式情報」自体の記述方法については特にこれまで決められたものはなく,いわゆる「仕様書・ドキュメント」類として公開・または非公開となっているのが通常です。しかし,それでは,あるシステムが別のシステムのデータを利用できるようにしようとしたときに,その仕様書(データ構造・書式情報)を入手してデータ交換機能を実装追加するという手順が必要です。これは通常,そのシステムを開発したところでしか対応できません。また,システムの数だけ仕様書があるということにもなるので,システムごとに実装しなければならない,ということにもなります。

 そこで,農業の圃場生産工程に関係するデータを特定のデータ表現規格(書式)で統一することができれば,その形式にさえ対応しておけば,対応済みのシステム間同士ではデータ交換が可能となります。

 このような圃場生産工程管理に関する統一的なデータ書式を開発しようとしています。

 FarmXML は農場における生産工程全般のデータ記述規格の総称として,九州大学の南石教授により提唱されています。

 以下では,そのうち,農作業や作物生育,生産環境に関して連続的に計測されたデータの表現形式や,農地管理から作付け(土地利用決定),栽培作業管理,生産出荷までの主に生産リソース(人・作業,作物,機材,資材など)に関して記録される各種データの表現形式について開発を試みているところです。

データ標準化の常套手段

 ICT業界をはじめとして,データ標準化の試みはありとあらゆる分野・業種で試みられています。農業分野でも,東海大学の星教授が提唱している「BIX-pp」やEUの農場生産情報交換書式「agroXML」などがあります。これらは「XML Schema」と呼ばれるXML文書の一規格を用いて,XMLで記述されているデータの書式情報(論理的構造)を定義しています。
 この「XML Schema」が現在,このようなデータ構造(スキーマ)・書式を定義する目的で常用されています。XML Schemaを使用することで,世の中にある多くのツール(スキーマを処理して,プログラムデータ構造に変換したり,動的に内部データに変換したりする)が利用でき,個々のシステム・ソフトウェア開発においてスキーマに対応したライブラリ群やツール群を使用して効率的な実装ができるようになっているからです。

 

BIX-pp Diagram
[ BIX-pp 3.0 スキーマ構成 ]
スキーマソース(XML文書より)作成

 

agroXML Diagram
[ agroXML 1.5 スキーマ構成(トップ構造のみ) ]
スキーマソース(XML文書)より作成

 

センサ等で連続的に収集される農作業・作物生育・生産環境情報の表現形式 : GPXX 1.1

 東海大学で提唱されたBIX-ppは主に温室や植物工場などの施設型生産環境における連続計測データを対象としたデータ表現・交換規格で,位置情報については生産が行われる場(施設や圃場)について一点を記録できるようになっています。圃場や施設内に複数設置されたセンサ類がある場合でも,その生産の場を代表する一地点を記録するように設計されています。圃場作業機械や可搬型計測機器のように時間とともに位置が変わるようなデータの記録には適していません(もちろん,センサごとにひとつのBIX-pp書式を当てはめるという使い方もあり得ますが効率的ではありません)。

 GPXX はGPSロガーのデータを交換する目的で世界的な標準として用いられるようになっている規格である GPX (GPS eXchange format) : XML Schemaで規定されたデータ構造を持つXML文書をベースにして,時々刻々と変わる計測地点の位置情報とともに,複数(任意個数の)計測データを記録できるようにデータ構造を拡張したものです。GPXX も XML Schemaで規定されており,GPX 規格が用意している 拡張要素 (<extention>要素)を利用して,地点データおよびそのプロフィール(メタ情報)を記録・交換できるようになっています。

 

GPX 1.1 Schema

※ trk/trkseg/extensions または trk/trkseg/trk/extensions を拡張する形で PFUPoint 2.0が配置されます。
※ スキーマ上は <extensions>要素の子要素として<PointData>要素等が規格化されていますが,インスタンス
  上では親要素にしたがって,実際に使用される<PointData>等要素が決まります。
  具体的には,trk/trkseg/trk/extensions の子要素としては <PointData> と <PointDataSet> が,trk/trkseg
  の子要素としては <PointDataSetArray> と <PointDataEachArray> が使用されます。
[ GPX 1.1 スキーマ ]

 

pfupoint 2.0 schema
[ PFUPoint 2.0 スキーマ ]

 

PMType 1.1 schema
[ PMType 1.1 スキーマ ]

 

農場や圃場・作付け・作業進捗などの生産工程管理情報の表現形式 : FIX-pms 1.0β

 GPXXによるデータ表現は,特定の圃場作業における詳細な作業軌跡とそれに付随する各種センサ情報などの数値データ,または特定の据付センサ類による作物生育や環境の計測データなど,特定の地点範囲・時間範囲に限定された詳細な連続計測データの表現に適したものとなっています。

 これに対して,人が行うもろもろの生産活動(圃場管理や作付け管理,作業進捗管理,収穫物の加工調製出荷管理など)の農場単位での生産工程管理(営農活動情報管理)には,GPXXを包含する表現形式として「FIX-pms」を作成しています。現在も作成中で,現行バージョンはまだ1.0βの段階です。

 

 ⇒ スキーマソース (Winzip形式アーカイブ,2011年10.06月版)New ※ GPXX 1.1 スキーマを含んでいます

 ⇒ スキーマダイアグラムPDF(PDF,1.09MB,2011年10.06月版)New

 

FIX-pms Diagram
[ FIX-pms 1.0β スキーマ New ]

 

 以下は,<FIX-pms>ルート直下の子要素群です。<Author>要素から<Note>要素までは,FIX-pms文書のヘッダ(メタ)情報に相当するものです。続く<Farm>要素から<ProductProcess>要素までが実際に農場生産に関するさまざまなデータを表現・格納するためのデータ構造を定義しています。これらの多くの要素が任意(minOccurs=0)となっており,使用目的に応じて必要な要素だけを記述すればよいようになっています。

 ちなみに,GPXXによる作業軌跡データ等は<WorkProcesses>以下の<TrackData>要素の子要素として記録できるようになっています。また,BIX-ppによる施設等での連続記録データは<Cultivations>以下に記録できるようにする予定です。

 

FIX-pms 1.0beta

※ 多くの要素が任意(minOccurs=0)として定義されています。ここでは<Author>, <Create>, <Farm>
  要素は必ず1回だけ記述することがわかります。
[ FIX-pms 1.0β スキーマ(トップ構成のみ) ]

 


(C) 2007-11 DSS(LAIS) WeNARC,2011 AgInfo AgSys-IT NARC.

2011.10